Schauderの不動点定理(Schauder fixed-point theorem)とは、ノルム空間の空でない閉凸集合 $C$ からそれ自身への連続写像 $F$ について、像 $F(C)$ の閉包がコンパクトならば $F$ が不動点をもつという定理である。とくにコンパクト凸集合からそれ自身への連続写像は不動点をもち、有限次元の Brouwer の不動点定理を無限次元へ広げたものにあたる。証明では、像のコンパクト性を使って $F$ を有限次元の多面体への写像で一様に近似し、近似写像の不動点の極限をとる。微分方程式や積分方程式の解の存在を示す道具として使われ、Banach の不動点定理と違って一意性や反復の収束は主張しない。
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不動点性(fixed point property)とは、位相空間 $X$ から自分自身へのすべての連続写像が不動点をもつという性質である。閉区間・閉円板・有限次元の空でないコンパクト凸集合はこの性質をもち、球面・正の次元の Euclid 空間・トーラスはもたず、不動点性は同相写像とレトラクトには受け継がれるが、ホモトピー同値や連続像には受け継がれない。有限単体複体のレトラクトについては Lefschetz の不動点定理が使え、有理係数のコホモロジーが 1 点と同じ弧状連結な空間や、偶数次元の実射影空間 $\mathbb{RP}^{2n}$・複素射影空間 $\mathbb{CP}^{2n}$ は不動点性をもつ。奇数次元の $\mathbb{RP}^{2n-1}$・$\mathbb{CP}^{2n+1}$ には不動点をもたない自己写像がある。
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Picardの小定理(little Picard theorem)とは、定数でない整関数 $f$ がとらない複素数の値は高々 1 つである、という定理である。$e^z$ が $0$ だけをとらないように除外値が 1 つあることは起こりうるが、相異なる 2 つの値を避ける整関数は定数になる。証明は、$f$ が $0$ と $1$ を避けるとき対数と平方根により $f=e^{2\pi i\cosh^2H}$ と書き、$H$ が平面に一定の密度で散らばった点の集合を避けることと、定数でない整関数の像がいくらでも大きな円板を含むという Bloch 型の補題とを対比させて行う。真性特異点のまわりでの一般化が Picard の大定理で、多項式でない整関数は高々 1 つを除くすべての値を無限回とる。
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左ファイブレーションと右ファイブレーション(left and right fibrations)とは、単体的集合の写像であって、それぞれ $0\le k< n$、$0< k\le n$ のすべてのホーン $\Lambda^n_k\subset\Delta^n$ に対して右持ち上げ性質をもつもののことである。通常の圏の関手 $F$ について、脈体 $N(F)$ が右ファイブレーションであることは $F$ が亜群でファイバー付けられていることと同値であり、右ファイブレーションは亜群でファイバー付けられた圏の ∞圏版である。ファイバーは Kan 複体で、準圏のスライスの射影 $\mathcal C_{/p}\to\mathcal C$ が基本の例であり、Kan 複体の上の右ファイブレーションは Kan ファイブレーションになる。
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Riemannの写像定理(Riemann mapping theorem)とは、複素平面全体と異なる単連結な領域 $\Omega$ と点 $a\in\Omega$ に対し、$\Omega$ から単位円板への双正則写像 $\varphi$ で $\varphi(a)=0$、$\varphi'(a)>0$ を満たすものがただ 1 つ存在するという定理である。求める写像は、$a$ を $0$ に写す $\Omega$ から単位円板への単射な正則関数のうち $|\varphi'(a)|$ が最大のものであり、その存在は Montel の定理と Hurwitz の定理から、全射性は平方根をとる操作と Schwarz の補題から従う。複素平面全体と異なる領域では、単連結であること、零点のない正則関数が正則な平方根をもつこと、単位円板と双正則であることは同値である。
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∞トポス(∞-topos)とは、小さい∞圏 $\mathcal C$ 上の空間値前層の∞圏 $\mathcal P(\mathcal C)$ の、有限極限を保つ到達可能な局所化として得られる∞圏であり、集合の圏に似た圏として Grothendieck トポスがあるのと同じ意味で、空間の∞圏に似た∞圏である。空間の∞圏、前層の∞圏、位相空間上の空間値の層の∞圏が代表例で、0 切り詰め対象のなす部分は Grothendieck トポスになる。∞トポスでは余極限が引き戻しで保たれ、余積は交わらず、亜群対象はすべて有効であり、表示可能な∞圏についてはこれらの条件が∞トポスであることの特徴づけになる(Giraud–Lurie の定理)。余極限の普遍性から始対象への射はすべて同値になるので、零対象でない対象をもつ安定∞圏は∞トポスでない。
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Monte Carlo法(Monte Carlo method)とは、求めたい量を確率変数の期待値 $I=E[f(X)]$ の形に書き、$X$ と同じ分布に従う独立な標本 $X_1,\dots,X_n$ を乱数で作って、標本平均 $\frac1n\sum_if(X_i)$ で $I$ を見積もる方法である。推定量は不偏で、$f(X)$ の分散 $\sigma^2$ が有限なら誤差の標準偏差は $\sigma/\sqrt n$ であり、次元にも被積分関数のなめらかさにもよらないので、高次元の積分や式では計算できない確率の計算に使われる。標本分散と中心極限定理から近似的な信頼区間が作れ、重点サンプリング・制御変量・対称変量によって分散を減らせる。
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Mikhlinの乗数定理(Mikhlin multiplier theorem)とは、Fourier 変換の側で $m$ を掛ける作用素 $T_m f=\mathcal F^{-1}(m\hat f)$ が $L^p(\mathbb R^n)$($1<p<\infty$)で有界になるための十分条件を、$m$ の偏導関数の減り方 $|\partial^\alpha m(\xi)|\le B|\xi|^{-|\alpha|}$($|\alpha|\le n+1$)で与える定理である。$m$ を二進の環に分けると $T_m$ が特異積分作用素になり、$L^p$ 有界性と弱 $(1,1)$ 型評価が従う。次数 $0$ の斉次な表象は条件を満たし、Riesz 変換の $L^p$ 有界性や $\|\partial_j\partial_k u\|_p\le C\|\Delta u\|_p$ が得られる。
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平行移動と可換な作用素(translation-invariant operator)とは、$L^2(\mathbb R^n)$ 上の有界線形作用素 $T$ で、すべての平行移動 $\tau_yf(x)=f(x-y)$ と可換なもののことである。このような $T$ は、Fourier 変換したあとに有界な関数 $m$ を掛ける Fourier 乗数作用素 $\widehat{Tf}=m\widehat f$ にちょうど一致し、$m$ はほとんどいたるところ一意で $\|T\|=\|m\|_\infty$ となる。畳み込み、熱方程式の解作用素、Hilbert 変換が典型例で、どれも互いに可換な正規作用素である。$n=1$ で正の数による拡大とも可換なものは、恒等作用素と Hilbert 変換の 1 次結合に限られる。
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特異積分作用素(singular integral operator)とは、$L^2(\mathbb{R}^n)$ 上の有界線形作用素で、台がコンパクトな関数には台の外で、大きさの条件 $|K(x)|\le A|x|^{-n}$ と Hörmander の条件を満たす核 $K$ による積分 $\int K(x-y)f(y)\,dy$ で表されるものである。核は原点の近くで積分可能とは限らないが、Calderón–Zygmund 分解により、この作用素は弱 $(1,1)$ 型であり、$1<p<\infty$ で $L^p$ 有界になる。例は Hilbert 変換で、核を $\varepsilon<|x|<R$ に切り落とした作用素は $\varepsilon,R$ によらない定数で $L^p$ 有界になるが、$p=1,\infty$ ではそうならない。
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